神戸港において約20年間、荷役作業に従事したAさん(79歳)は、2004年9月に肺がんのため手術をし、2006年3月に神戸東署に労災申請を行いました。しかし、不支給決定となり、さらに審査請求も棄却されました。2010年7月にも2回目の労災申請をおこなったのですが、認定基準の胸膜プラーク、石綿小体が確認できないことを理由に、またもや不支給決定となりました。
しかし、不支給決定にどうしても納得することができず、2011年1月に審査請求をおこないました。このままでは同じような結果を招くと考えられたため、神戸労災病院へ石綿小体の計測依頼をおこないました。すると、乾燥肺1gあたり5748本の石綿小体が確認されたのでした。
すると、4月に審査官より「監督署に戻したい」との連絡が入り、5月には労災認定調査官より「不支給決定を取り消し、支給決定とする」との報告がありました。最初の労災申請から5年を経て、Aさんはやっと支給決定書を受け取りました。労災の支給は、肺がんの治療が始まった2004年8月からと認められました。
今回の事案は、肺がんの摘出手術が行われ、組織が保存されていながら、組織の検査が行われていなかった点に問題があります。主治医の「石綿小体なし」との意見だけを採用し、検査を行ったうえでの「なし」なのか、検査を行わずの「なし」なのかを確認していなかった点も問題があります。こうしたことが繰り返されないように、適正な調査をのぞみたいものです。
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