肺がんの治療中で、胸膜プラークがあり、組織からは石綿小体が6435本検出され、病院から労災申請を薦められている方からの相談がありました。
石綿肺がんの認定基準では、原発性肺がん+胸膜プラーク+10年曝露で業務上となり、石綿小体が5000本を超えた場合は、曝露期間が10年未満であっても本省協議のうえ業務上とされています。Aさんの場合、石綿肺がんの認定基準である医学的所見を充分満たしており、曝露作業さえ判明すれば業務上となる事案でした。
そこで、Aさんが最後に石綿に曝露した作業場を管轄する、山口県の宇部署に労災申請を行ったのですが、「石綿を使用していた事実は認められるが、飛散する状況ではなかった」として、不支給処分を決定したのでした。
仮に、最後の事業場で石綿の曝露が認められない場合でも、それ以前の職場での石綿ばく露は十分考えられるのであり、他署へ移送するのが本来の手順です。しかし、宇部署はそうしたこともせず、不支給処分を決定したのでした。それに、主治医の所見は「両肺野に粒状影と胸膜プラークを認める」というものでした。すると、じん肺合併症としての視点での調査も行わなければならないのですが、そうした調査も行わず、二重三重の調査ミスを犯し、不支給処分を決定したのでした。
3月に審査請求を行い、5月末に決定書が届きました。不支給処分を取り消すとの内容でした。決定の内容に特に新しい事実はなく、作業場周辺において間接ばく露があった、との理由でした。
請求から今回の決定まで1年強の時間を要しました。石綿小体が6435本もあり、プラークもあるのに、それでも宇部署は不支給の理由を探そうとしたのでした。この1年間、被災者とご家族がどのような思いで過ごしてきたのか、その思いをしっかりと汲み取って欲しい。
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