2005年に起きた福知山線車両脱線事故で、負傷者113名が搬送された病院において救急救命活動に携わり、
PTSDを発症したとして看護師が労災認定を求めた訴訟の判決が、
21日に神戸地裁であった。
矢尾和子裁判長は、「事故現場に赴いておらず、救急医療で一般に生じる体験しかしていない」として、
請求を棄却した。
判決の要旨は次の通りです。病気については、
ICD−10及びDSM−Wの基準によりPTSDと判断できないが、適応障害であると認められる。
発症した適応障害と業務との因果関係については、国側の判断指針に即して判断が行われ、
看護リーダーとなり新人を指導していたことから、役割の変化で強度「T」、事故当日の勤務は過重であったから、仕事・量の変化で強度は「U」、と判断。事故や災害の体験には該当しないが、仮に「悲惨な事故や災害の体験を目撃した」に該当すると考えた場合は、強度「U」と判断。強度を修正する点も認められず、状況の持続の点も事故当日1日だけであるから、強度はUで総合評価も中とし、業務に起因するものとは認められない判断したのでした。
東日本大震災において救護・救命活動にあたる人たちの中で、同じような体験をした人たちの状況や待遇の改善につながるのでは、との思いで判決を待っていました。が、大変残念な判決内容です。
裁判においては原告本人が事故当時の状況を証言しましたが、車両のシートに乗せられ運ばれてくる患者さん、普段受け入れている人数を大幅に超えて運ばれてくる患者さん、しかも経験したこともない重症の患者さん、まさに野戦病院といっていい状態だったのです。裁判長は厚生労働省の認定基準にあたらないとして棄却したのですが、認定基準に該当するかどうかは労働基準監督署の仕事です。現在の労災認定基準にも様々な問題があり、改正にむけての検討会が開かれている最中だけに、現行の労災認定基準に沿って判決が言い渡されてことは残念で仕方ありません。
|