NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

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労災職業病・安全衛生の取り組み

第20回通常総会を開催

2025/07/22
6月14日、長田区文化センター別館ピフレホールにおいて、NPO法人ひょうご労働安全衛生センターの第20回通常総会を開催した。総会は、1部総会行事と2部記念講演の2部構成で行った。
主催者を代表して小西達也理事長の挨拶では、「災害とアスベストー阪神淡路30年プロジェクト」のこれまでの取り組みを中心に報告があった。

その後、各会員から取り組みについて報告があった。全港湾神戸支部からは、同支部における学習会の取り組みについて報告された。支部には港湾労働者のほか、バス運転手など様々な職種の仲間が在籍しており、それぞれの現場に応じた安全対策が求められている。毎年、現場で役立つ学習会を企画・開催しており、今年は「腰痛予防」をテーマに学習会を開催すると話された。正しい体の使い方や予防法を学ぶことで、職種を問わず仲間の健康を守るきっかけにしたいと報告された。

武庫川ユニオンからは、労災事故が多発する職場の実態が報告された。組合員が働くおせちを作る会社では、荷物昇降機で指を挟まれる、ジア塩素酸が目に入る、エビの出汁が肩から腕にかかり大やけど、カ二の甲羅蒸しで両腕をやけど、重量物を運んで膝を負傷などの労災事故が次々と発生している。団体交渉を通じて職場環境の改善や労災手続きの実施を求めてきたが、会社は安全な作業環境を整備せず、組合員に対して「雇止め」を行った。組合員は 「労災事故にあった労働者を使い捨てにするような会社はゆるされない」と強く訴え、「会社側との団体交渉は続おり、皆さんの応援をお願いしたい」と協力の要請があった。

また、個人会員のKさんからは、灘区王子公園再整備計画におけるアスベスト除去問題について報告があった。神戸市は王子公園に大学を誘致する計画を進めるために、王子プールなどの解体工事を始めているが、使用されているアスベストについて地域住民への説明が十分にされていないと指摘された。「今後さらに解体工事が進む中で、アスベスト問題が課題になってくるので、ご協力をお願いしたい」と訴えられた。

♦制度改悪を押し返してきた運動

第2部は、全国労働安全衛生センター連絡会議事務局長の古谷杉郎氏を講師に迎え、「労災保険法を含む労働関連法制改正の動きと私たちの課題」と題して記念講演が行われた。労災保険法および労働安全衛生法をめぐる歴史と現状、そして今後の課題について語られた。

1970~80年代には、労災保険法や労働安全衛生法に関して制度改悪の動きが相次いだ。 
1988年には労働基準法研究会の中間報告を受け、制度の見直しが進められたが、安全センター、労働組合、被災者、医師・弁護士らの連携により全国的な反対運動が組織され、法改正を実質的に阻止した。この運動の蓄積が 1991年の全国労働安全衛生センター連絡会議設立へとつながった。

♦現場から実現してきた制度改革

反対運動にとどまらず、実務の現場から新たな制度の創出や改善も実現されてきた。たとえば、外国人労働者の労災給付を本国に送金する制度や、「不法就労」外国人に対する「救済優先・通報せず」の原則。振動病に関しては、 「症状固定前の経過観察制度」を創設し、被災者の療養打ち切りを防ぎ、適切な認定を可能にした。また、じん肺合併症としての肺がんの認定、労災鍼灸治療の制限撤廃、後続請求の時効問題の救済、アスベスト被害への対応など、地域センターや被災者支援活動から制度化された重要な成果が多数ある。


♦労働安全衛生法の歩みと新たな展開

労働安全衛生法は、1972年の制定以降、健康保持増進や快適職場形成の視点を取り入れて改正を重ねてきた。2006年の改正ではリスクアセスメントや長時間労働者への医師面談指導が制度化され、2015年にはストレスチェック制度が導入された。
近年では、胆管がんやアスベスト問題などを契機に化学物質管理の見直しが進み、SDS(安全データシート)交付や機械の危険性通知など、労働者の「知る権利」を保障する仕組みが拡充されている。これにより、作業前に必要な情報を得られるようになり、情報公開の仕組みが制度の実効性を高める重要な要素であると指摘された。
古谷氏は、「制度は自然には変わらない。声を上げ、現場から働きかけてきたからこそ、ここまで変えてこられた」と語り、今後も課題に向き合い続ける姿勢の大切さを訴えた。

 

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