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公務災害
公務災害の認定を受けたが
17か月も休業補償が支払われず
2025/07/25
宝塚市役所の技術職員として勤務してきた Mさんは、2022年12月の健康診断で胸部に異常陰影を指摘され、2023年1月に市立病院を受診し検査をおこなったところ、悪性胸膜中皮腫と診断された。
Mさんは、職場の天井や壁にアスベスト(石綿)が吹き付けられていた場所があったことや、アスベストが劣化して舞い上がっていたことを思いだし、2023年2月に地方公務員災害補償基金兵庫県支部へ公務災害の認定請求をおこなった。その結果、2024年1月に公務上の災害であるとの認定通知が届いた(詳細は2024年3月号に掲載)。
公務災害の場合、被災者や遺族は、基金支部に対して、災害が公務災害であることの認定請求を行なう。基金支部は請求内容を審査し公務上・外を判断し、請求人に通知する。そして公務上と認定された場合、被災者や遺族は休業補償や療養補償等の補償請求を行う流れとなっている。
♦ 「死ぬのを待っているのか」
Mさんは、公務災害の認定通知を受け、令和6年4月22日付で、令和5年1月4日(傷病発生日)から令和6年3月11日分までの休業補償の請求をおこなった。第2回目の休業補償請求(令和6年3月12日から同年6月10日分)は、令和6年6月10日付でおこなった。そして第3回目分(令和6年6月11日から同年9月20日分)の請求を令和6年10月9日付でおこなった。その後も、定期的に請求を行ったのだが、一向に休業補償が支払われない。
Mさんが基金支部に進捗状況を問い合わせると、「本人かどうか確認できないので答えられない」「所属の宝塚市に伝えているので聞いて欲しい」との対応であった。そこで宝塚市に問い合わせると「審査中」という回答しかなく、基金支部から進捗状況に関する連絡が入っているようではなかった。Mさんは、休業補償を受けられない状況が長く続く中で、「死ぬのを待っているのではないか」と思ったそうである。
♦省庁交渉で早急な支給を求める
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会は、「すき間と格差のない補償・救済の実現」「中皮腫を治せる病気にするための治療・研究の促進」を大きな柱に、アスベスト問題に関する様々な課題を集約し、毎年、省庁交渉を行っている。
今年の省庁交渉の要望項目に、Mさんの休業補償が支給されない問題を盛り込んでもらった。総務省に対する地方公務員災害補償基金の問題の一つとして、「公務上決定者に対して、決定後、1年以上経過しても休業補償が支給されない事案が発生しています。このような杜撰な対応になっている理由を明らかにし、早急に給付の支給をして下さい」という要望を提出した。
今年の省庁交渉の第1回目は、5月30日に全国の多くの会員がウエブで参加し開催された。交渉において総務省は「公務上の災害等 であると認定された以上、速やかに事務処理を行って休業補償を支給すべきと考えておりますので、不適切な具体事例がございましたら、基金本部から基金支部への改善指導を行うよう求めてまいりたい」との回答があった。
♦基金支部との意見交換
その後、Mさんは偶然に宝塚市選出の橋本成年県会議員と出会い、休業補償の支給が滞っていることを伝えた。そこで橋本議員は、6月5日に基金支部に対して滞っている理由について問い合わせた。基金支部の見解は、①休業が必要な状態か否かを確認している、②退職者にたいして休業補償を支給したケースがこれまでに無い、③支給する場合の平均賃金をどの時点で計算するのか検討中、という内容であった。業務上認定の決定から約17ヵ月が経過するのに、まだこの様な見解なのかと驚いた。
ところが、県会議員とのやり取りから間もない6月13日付で、Mさん宅に「休業補償、休業援護金」の決定通知が届いた。しかし、決定の通知は令和6年9月20日分までで、休業補償を請求している3回分までであった。そこで改めて橋本議員に協力いただき基金支部との意見交換の場を持つことになり、6月 23日に実現した。
Mさんは、①支給までになぜここまで時間を要したのか、②調査経過を訪ねた際に説明を拒まれたのは何故か、③請求している残りの休業補償はどうなっているのか、④平均賃金の計算方法について説明して欲しい、と訴えた。
基金支部からは、1点目について「時間を要したことについて申し訳ございませんでした」との謝罪があった。2点目については「全ての場合、途中経過を申し上げるのが難しい」、3点目については「医療照会をしており、回答期限が7月14日としているのでそれ以降になる」、4点目については「退職時の給料を元にして計算した。Mさんが退職後に市の給料表が変更されたので、計算に時間を要した」との回答であった。
♦中皮腫の認定率51.7%
地方公務員災害補償基金においては請求に対する調査・処理の標準処理期間を設定しており、公務災害と認定した後の休業補償請求については「1か月」と各支部に通知している。基金支部は処理が遅れた理由の一つに、「年間1,800件を審査している…」と話していた。また、「医師への照会に時間を要している…」とも話していた。Mさんは休業補償の請求用紙に医師の証明を得て基金支部に提出したのだが、受理した基金支部は再び医師に対して、請求期間の一日一日について休業が必要か否かの照会を行っていると話していた。調査・処理に時間を要するはずである。
そして何より、基金支部の担当者が中皮腫という病気に対する認識が無いことが問題であると感じた。全国の基金支部が受理した中皮腫の認定申請のうち、業務上と判断されたのは51. 7%である。さらに問題点を追求し改善を求めたい。
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Mさんは、職場の天井や壁にアスベスト(石綿)が吹き付けられていた場所があったことや、アスベストが劣化して舞い上がっていたことを思いだし、2023年2月に地方公務員災害補償基金兵庫県支部へ公務災害の認定請求をおこなった。その結果、2024年1月に公務上の災害であるとの認定通知が届いた(詳細は2024年3月号に掲載)。
公務災害の場合、被災者や遺族は、基金支部に対して、災害が公務災害であることの認定請求を行なう。基金支部は請求内容を審査し公務上・外を判断し、請求人に通知する。そして公務上と認定された場合、被災者や遺族は休業補償や療養補償等の補償請求を行う流れとなっている。
♦ 「死ぬのを待っているのか」
Mさんは、公務災害の認定通知を受け、令和6年4月22日付で、令和5年1月4日(傷病発生日)から令和6年3月11日分までの休業補償の請求をおこなった。第2回目の休業補償請求(令和6年3月12日から同年6月10日分)は、令和6年6月10日付でおこなった。そして第3回目分(令和6年6月11日から同年9月20日分)の請求を令和6年10月9日付でおこなった。その後も、定期的に請求を行ったのだが、一向に休業補償が支払われない。
Mさんが基金支部に進捗状況を問い合わせると、「本人かどうか確認できないので答えられない」「所属の宝塚市に伝えているので聞いて欲しい」との対応であった。そこで宝塚市に問い合わせると「審査中」という回答しかなく、基金支部から進捗状況に関する連絡が入っているようではなかった。Mさんは、休業補償を受けられない状況が長く続く中で、「死ぬのを待っているのではないか」と思ったそうである。
♦省庁交渉で早急な支給を求める
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会は、「すき間と格差のない補償・救済の実現」「中皮腫を治せる病気にするための治療・研究の促進」を大きな柱に、アスベスト問題に関する様々な課題を集約し、毎年、省庁交渉を行っている。
今年の省庁交渉の要望項目に、Mさんの休業補償が支給されない問題を盛り込んでもらった。総務省に対する地方公務員災害補償基金の問題の一つとして、「公務上決定者に対して、決定後、1年以上経過しても休業補償が支給されない事案が発生しています。このような杜撰な対応になっている理由を明らかにし、早急に給付の支給をして下さい」という要望を提出した。
今年の省庁交渉の第1回目は、5月30日に全国の多くの会員がウエブで参加し開催された。交渉において総務省は「公務上の災害等 であると認定された以上、速やかに事務処理を行って休業補償を支給すべきと考えておりますので、不適切な具体事例がございましたら、基金本部から基金支部への改善指導を行うよう求めてまいりたい」との回答があった。
♦基金支部との意見交換
その後、Mさんは偶然に宝塚市選出の橋本成年県会議員と出会い、休業補償の支給が滞っていることを伝えた。そこで橋本議員は、6月5日に基金支部に対して滞っている理由について問い合わせた。基金支部の見解は、①休業が必要な状態か否かを確認している、②退職者にたいして休業補償を支給したケースがこれまでに無い、③支給する場合の平均賃金をどの時点で計算するのか検討中、という内容であった。業務上認定の決定から約17ヵ月が経過するのに、まだこの様な見解なのかと驚いた。
ところが、県会議員とのやり取りから間もない6月13日付で、Mさん宅に「休業補償、休業援護金」の決定通知が届いた。しかし、決定の通知は令和6年9月20日分までで、休業補償を請求している3回分までであった。そこで改めて橋本議員に協力いただき基金支部との意見交換の場を持つことになり、6月 23日に実現した。
Mさんは、①支給までになぜここまで時間を要したのか、②調査経過を訪ねた際に説明を拒まれたのは何故か、③請求している残りの休業補償はどうなっているのか、④平均賃金の計算方法について説明して欲しい、と訴えた。
基金支部からは、1点目について「時間を要したことについて申し訳ございませんでした」との謝罪があった。2点目については「全ての場合、途中経過を申し上げるのが難しい」、3点目については「医療照会をしており、回答期限が7月14日としているのでそれ以降になる」、4点目については「退職時の給料を元にして計算した。Mさんが退職後に市の給料表が変更されたので、計算に時間を要した」との回答であった。
♦中皮腫の認定率51.7%
地方公務員災害補償基金においては請求に対する調査・処理の標準処理期間を設定しており、公務災害と認定した後の休業補償請求については「1か月」と各支部に通知している。基金支部は処理が遅れた理由の一つに、「年間1,800件を審査している…」と話していた。また、「医師への照会に時間を要している…」とも話していた。Mさんは休業補償の請求用紙に医師の証明を得て基金支部に提出したのだが、受理した基金支部は再び医師に対して、請求期間の一日一日について休業が必要か否かの照会を行っていると話していた。調査・処理に時間を要するはずである。
そして何より、基金支部の担当者が中皮腫という病気に対する認識が無いことが問題であると感じた。全国の基金支部が受理した中皮腫の認定申請のうち、業務上と判断されたのは51. 7%である。さらに問題点を追求し改善を求めたい。