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◆意識を変えること
「以前の有休取得率は、下から数えた方が早かったですね」と話すのは、神戸市の職員として勤務する傍ら、働く父親のサポート活動を行っているNPO法人ファザーリング・ジャパン関西の堀恭平さん。堀さんは、有休や育休を取得して孤立してしまうような職場を変えていかなければならないと強調します。自身と家族の経験を交えながら、「父親が仕事以外に目を向けるようにしたい。軸足が多いほど人生は豊かになる」と説きました。
また、灘高校の教師である片田孫朝日さんは、夕方5時に誰もいなくなった職員室の写真を紹介しながら、「生徒の自主性に委ね、教職員に余計な仕事をさせないのが学校の方針だ」と話しました。共働きの家庭では、母親が勤務時間を調整するのが大半で、「家事や育児の時間を含めると女性の方が長時間労働だ」と指摘します。片田孫さんは、配偶者がNPO法人の要職に就いていることもあり、夕方までには仕事を終えて子どもの保育園の送り迎えや家事に勤しみ、「母性とか役割ではなく、男も家事ができるというか、向いている、逆に妻を見ると女性の方がリーダーシップがある」と話し、働き方をアップデートするためのヒントを参加者に数多く与えてくれました。
◆増える労災申請
兵庫労働局の赤松俊彦局長は、働き方改革が19年4月から実施された一方、「残念ながら今も269万人が月80時間以上残業している」と話しました。
登壇した遺族も「過労死防止対策推進法施行から10年経っても、脳・心臓疾患、ハラスメントの労災申請は増えている。高市早苗首相の『働いて、働いて』発言や、労働時間の規制緩和の動きは過労死を助長することになる」と厳しく指摘しました。日本社会はこれまで「長時間労働は当たり前という文化」でした。しかしこの間、過労死を考える家族の会の活動や防止法制定によって国民の意識が高まり、これまで沈黙していた人々が声を上げ、労災認定や判決を勝ち取ってきたのも事実です。
神戸市職員の堀さんは、「働くことは生きることである」と訴えました。労働で心身の健康を損なったり、ましてや命を失うことなど絶対あってはなりません。しかし、パワハラや長時間労働が横行する職場では、誰でも被害者になり得ます。今後も過労死防止に向け、一層の啓発活動が求められます。