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地震・石綿・マスク支援プロジェクト

2021 地震・石綿・マスク支援プロジェクトin神戸

2021/01/29
◇街頭宣伝を実施

 1月17日(日)、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会ひょうご支部、NPO法人アスベスト被害者救済基金、そしてNPO法人ひょうご労働安全衛生センターのメンバーは、神戸市中央区のセンター街東口付近で、「2021 地震・石綿・マスク支援プロジェクト」を取り組みました。新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言が発出される中での活動になったため、防じんマスクと啓発チラシは全て個包装し、手渡すメンバーもマスクと手袋を着用し感染対策を行い、1,000枚のマスクとチラシを配布しました。
 また、ハンドマイクを通して、通行する人々にアスベストの危険性や阪神・淡路大震災で建物が倒壊し大量のアスベストが飛散したこと、そして労働者だけでなく被災地住民など多くの人の健康被害が心配されることを訴えました。アスベストの危険性を知ってもらい、過去の話として終わったものではなく、現在そして未来においても深刻な被害が生じる恐れがあること、アスベストを吸わないための対策がこれからも求められることを訴えました。
 建設関係の仕事をしている男性は、「このマスクの性能は知っている。仕事で使わせてもらいます」と話されました。また、チラシを読まれた女性は、「今つけているマスク(布マスク)ではダメなのね」と関心を示されました。
 
◇阪神・淡路大震災から26年

 26年前(1995年)の117日、546分。震度7の激震が兵庫県南部を襲いました。たった20秒にも満たない揺れは、甚大な被害をもたらしました。6,400人以上の死者を出し、249千棟以上もの建築物構造物が全壊半壊の被害を受け、避難所生活を余儀なくされた人々はピーク時には316千人にも及びました。
 阪神・淡路大震災では数多くの建物が倒壊し、震災後には倒壊建物の解体・撤去作業が急ピッチで進められ、復旧・復興工事においても被災地は凄まじい粉じんに覆われました。しかし、アスベストの危険性について多くの作業員は知らされておらず、マスクをせずに作業を行う人も多くいました。そのため、解体・撤去作業に従事した労働者が、飛散したアスベスト粉じんを吸い込んでしまったのです。また、工事に従事した労働者だけでなく、解体・撤去作業が行われているすぐ傍で生活していた被災地の住民、子どもたち、ボランティアの方々もアスベスト粉じんを吸い込んでしまった可能性があります。
 阪神・淡路大震災から年月が経過するごとに、解体・撤去作業に従事した労働者が、アスベスト特有のガンである中皮腫を発症していることが明らかになっています。2018年4月には、震災直後の約1ヶ月間、被災地において巡回や救護に当たった警察官が、悪性胸膜中皮腫を発症し公務災害として認定されています。

◇アスベストの危険性と健康被害

 アスベスト(石綿)は天然の鉱物です。解きほぐすと人の髪の毛の5千分の1の繊維になり、匂いも無く、飛散しやすい性質をもっています。アスベストは耐火性、断熱性、防音性、耐摩耗性に優れた性質とともに、加工しやすく安価なため、「奇跡の鉱物」と称されてきました。そのため、建築材料をはじめ電気製品や自動車部品など最盛期には約3,000種類もの製品に使用されてきました。日本で使用された石綿の累計は1千万トンにものぼります。
 アスベストによる健康被害は、アスベスト粉じんを吸い込み、10数年から40年もの長い潜伏期間を経て、中皮腫や肺がんなどの重篤なガンや病気を発症します。そのため「静かな時限爆弾」と呼ばれてきました。
 アスベスト特有のがんである「中皮腫」は、特に予後が悪く、死亡者数はこの数年、約1,500人で推移しています。悪性胸膜中皮腫による死亡者数は、2040年までに10万人に及ぶという予測もあり、今後さらに中皮腫等の石綿関連疾患の増加が予想されています。
 これから起こりうる大震災や大雨・台風等に備えて、速やかにすべての建物の調査を行い、災害が起こる前に可能な限りアスベストの除去を進めていく必要があります。

◇これから起こる災害に備えて

 近年、地震・台風・大雨などの自然災害が多く発生し、甚大な被害を及ぼしています。そして、東海・東南海・南海地震等の大きな地震の危険がすぐそこに迫っていることを忘れてはいけません。災害はいつ・どこで起こるかわからないのです。
 災害が起きた際に、発がん物質であるアスベストを吸わないようにする対策が必要です。地震・石綿・マスク支援プロジェクトは、次の3点を提案します。

1.震災時に発生するアスベスト粉じんから身を守るために、防じんマスクを正しく装着できるようにし、家庭・学校・地域で備蓄をしましょう。 国や地方自治体に、震災時に備えたマスクの備蓄を要請しましょう。
2.日頃から身の回りの建物のどこにアスベストが使われているか、情報を把握し、建物のアスベストを安全な方法で事前に除去しましょう。国や地方自治体に、アスベスト除去促進のために働きかけましょう。
3.アスベストに関する基本的な知識を市民や子どもたちに広め、予防のために環境教育活動を取り組みましょう。

 阪神・淡路大震災の経験や教訓が風化しつつある中、震災時におけるアスベスト対策を訴え、アスベスト健康被害者を発生させないためにも、「地震・石綿・マスク支援プロジェクト」の活動を今後も継続して取り組んでいきます。