NPO法人 ひょうご労働安全衛生センター

労災・職業病・労働環境など
お気軽にご相談ください

TEL 078-382-2118
相談無料・秘密厳守
月〜金: 9:00-18:00

アスベスト・中皮腫・肺がん・じん肺

自治体の水道課職員が悪性胸膜中皮腫 二人が相次ぎ公務災害認定

2019/04/20
◆概要
2017(平成29)年に、アスベストが原因の悪性胸膜中皮腫を発症した下関市と岩国市の元職員が、今回、相次いで公務災害認定された。
石綿関連疾病に係る公務災害の申請・認定件数は、平成27年度は申請12件で認定が5件、平成28年度は申請10件で認定12件、平成29年度は申請18件で認定8件となっている。更に職種別の分類において「電気・ガス・水道事業職員」の申請・認定件数は、平成27年度は申請5件で認定3件、平成28年度は申請1件で認定2件、平成29年度は申請5件で認定1件となっている(決定件数は前年度以前に請求があったものを含む)。
労働災害に比べ、決して多いとは言えない公務員の申請・認定状況の中で、同一県で、同職種で、同時期に悪性胸膜中皮腫を発症し、同時期に公務災害と認定されるケースは極めて稀である。

◆二人の作業歴等
Aさん(発症時65オ)は、1972(昭和47)年9月に岩国市水道局へ入局。工務課に配属された1979(昭和54)年~1983(昭和58)年の期間は1ヵ月に2,3日程度、1984(昭和59)年~1992(平成4)年の期間は1年間に1,2日程度、石綿管の修繕作業等に従事した。2017(平成29)年8月に悪性胸膜中皮腫と診断され、同年9月に岩国市へ公務災害認定申請を行った。
Bさん(発症時73オ)は、1965(昭和40)年1月に菊川町役場(現、下関市)に入所。1側976(昭和51)年1月から1980(昭和55)年6月までの間、石綿管の修繕作業及び石綿管から鋳鉄管への敷設立ち合い作業に従事した。
2017(平成29)年10月に悪性胸膜中皮腫を発症し、同年12月に下閲市へ公務災害認定申請を行った。
そして、Bさんは2018年12月11日付けで公務災害と認定され、Aさんの請求も2019(平成31)年1月28日付けで公務災害と認定された。残念ながらAさんは、公務災害申請直後の2017(平成29)年12月に逝去された。

◆作業内容
公務災害の申請にあたり、二人から聞き取りを行ったが、作業については二人ともほぼ同じ内容を語られた。「石綿管は圧に弱く、よく裂けていました。」「住民から漏水の連絡を受け、現場に確認に行き、漏れている水道の量で破裂箇所の大きさを判断します。」「修繕作業は、まず重機等を用いて破裂した部分の周囲を掘り起こします。掘る穴の大きさは、管の大きさや破裂の大きさによって異なりますが、幅は約1~2m四方で、深さは約1mから1m20㎝程です」。
石綿ばく露に関しては、「本管の仕切弁で水道水を止め、作業員が穴の中に入り、破裂した部分をエンジンカッターを用いて切ります。その際、穴の中は目の前が見えないぐらい石綿粉じんが飛散し、真っ白になっていました。」「エンジンカッターで切れ残った場合は、管の下に手を差し込み、サンダーやノコを用いて切りました。」「切り取った部分に新しい管をつなぐ際は、予備として保管してある石綿管を寸法に合わせてエンジンカッターで裁断し、管の先端部分の角を削っていました。その際も電動工具を使用するため埃が大量に飛散しました。」と話されていた。

◆Bさんの訴え
2018年12月に公務災害と認定されたBさんは、岩国市のAさんの認定を気に掛けながら、機会がある毎に「全国の自治体で同じ仕事をしていた職員の健康が気になる」と話されていた。
そして、Aさんの遺族の元の認定の通知が届いたのは2月末であった。それから日程を調整し、3月18日に山口県庁において記者会見を行うことにした。ところがBさんの体調が悪化し、緊急入院することになった。Bさんは大変残念な思いのなかで、「ご迷惑をおかけします」と何度も謝っていた。記者会見は、中皮腫サポートキャラバン隊を通じて親交が深かった右田さんに急きょ出席を依頼し、中皮腫・アスベスト疾患.患者と家族の会山口支部世話人の久保さんも同席し行った。Bさんはコメントを寄せ、次のように訴えた。
「山口宇部医療センターに入院しているときに、アスベスト患者と家族の会の皆さんと出逢い、岩国市の水道局の職員も私と同じ病気を発症し、同じ病院に入院されていることを知りました。アスベストの病気になったのが私だけではないと知り、心配が更に大きくなりました。私が働いていた当時は、全国の自治体で石綿管が使われており、全国の同じ仕事をしていた職員の健康が気になりました。
石綿管の修繕作業に従事された方は、胸の異常を感じたら、アスベストを疑って下さい。そして一日も早く病院を受診してください。この度、私は公務災害と認定されましたが、認定までに約1年の時間を要しました。職員の皆さんにも大変お世話になりましたが、認定が出るまでの1年間は、病気の私にとってとても長い時間でした。少しでも早く決定が出るように、調査方法を検討していただきたいと思います。そして、石綿管の修繕作業に従事した職員に対して、健康診断の呼びかけを強めていただきたいと思います」と。

◆退職者への周知活動の強化を
全国的にアスベストにより疾病が増加するなかで、今回の二人の公務災害認定は、同種労働者及びアスベストにばく露した方々に対して警鐘を発しているといえる。
公務員であっても、アスベストを取り扱う作業に10年以上従事した労働者若しくは胸部画像により石綿所見がある方については、石綿健康管理手帳が交付され、年2回無料の健康診断を受けることが出来る。個人での手続きは困難を伴うため、労働組合として退職者への健康診断の呼びかけや情報周知の取り糾みが求められている。また、石綿関連疾患を発症されている場合は、公務災害申請の手続き支援が必要である。私たちは、これからも被災者の皆さんやご家族の皆さんに寄り添った活動を続けていく決意である。