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過労死・過重労働・脳心臓疾患

2019年度 過労死等の労災補償状況

2020/07/17
◇過労死等の労災補償状況

6月26日、厚生労働省は、2019(令和元)年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法において、「業務により過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神疾患をいう。」と定義されている。

今回は特に、精神疾患に関する請求件数が2,060件(前年度比240件)に急増していることが特徴である。


◇脳・心臓疾患の補償状況

2019(令和元)年度に脳・心臓疾患を発症したとして請求された件数は936件(前年度は877件)。支給決定件数は216件(前年度は238 件)で、その内死亡事案は86件であった。

認定率(支給決定件数を決定件数で除した数)は、2019年度は31.6%で、2018年度34.5%、2017年度38.1%、2016年度38.2%となっており、年々低下している。

脳・心臓疾患の支給決定件数が多い職種は、①自動車運転従事者67件、②法人・団体管理職員15件、③飲食物調理従事者14件、の順となっている。

また、支給決定件数が多い年齢をみると、50~59歳が91件、40~49歳が67件、60歳以上が42件となっており、管理監督的な立場となる年齢が多くなっている。


◇精神障害の労災補償状況

精神障害を発症したとして、2019(令和元)年度に請求された件数は2,060件で、過去最高であった前年度の1,820件よりも更に240件増えている。支給決定件数は509件(前年度は465件)で前年より若干増えている。

認定率は、2019年度は32.1%で、2018年度31.8%、2017年度32.8%、2016年度36.8%となっており、年々低下傾向で推移している。

精神障害の支給決定件数が多い職種は、①一般事務従事者41件、②自動車運転従事者36件、③商品販売従事者33件、の順となっている。

支給決定件数が多い年齢は、40~49歳が170件、30~39歳が132件、20~29歳が116件となっており、脳・心臓疾患に比べて若年化の傾向が続いている。

精神障害を発症する原因となる出来事については、①「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が79件、②「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が68件、③「特別な出来事」が63件、の順となっている。

今年6月1日から、いわゆるパワハラ防止法が施行されたが、増え続ける精神疾患の労災請求を減少させるために、具体的な形で職場に活かされなければならない。